#T#U#V#W#X#Y#Z#[#\#]
#T
騎士達の封鎖を突破し、
冒険者達はついに無窮(むきゅう)
の砂漠へと繰り出した。

女神が住まうとおぼしき
メレディスまでは、灼熱と酷寒が支配
する荒涼たる世界が続く。

砂漠の旅支度を整えるため、
冒険者達はひとまずシーレンオアシス
へと立ち寄るのだった──

>>> 第二章:砂の降る樹 <<<

(シーレンオアシス外れ──)
> サイナス
「・・・おっせえなあ。こんな所で待ってたら、干からびちまうってんだ──」
> サロ
「──遅くて悪かったな」
> サイナス
「うおっ? なんだ、来てたのか」
> サロ
「今来たところだ」
> サロ
「だいたい、お前がエスタージ殿と顔を合わせたくないと言うから、こんなややこしい事になったんだぞ?」
> サロ
「いまさらつべこべ言うな」
> サイナス
「しょうがねえだろ! 廃寺院で負けたことがバレてたら、殺されちまうぜ・・・」
> サロ
「ふん。お前らメルディムじゃ、“女神の元へ送る” と言うんだ」
> サイナス
「おお。それだよ、それ!」
> サロ
「馬鹿馬鹿しい・・・。エスタージ殿が知ってるわけないだろ?」
> サイナス
「あの方なら、何を知ってても不思議はないけどな・・・」
> サイナス
「おまけに神出鬼没だ。噂にしてたら、その辺から出てきそうだぜ」
> サロ
「たちの悪い精霊か何かじゃあるまいし・・・気にしすぎだ」
> サイナス
「よく知らねえから、そんなこと言えるんだよっ!」
> サイナス
「昔からエスタージ殿の側近くにいた人間なんて、ちょっとヘマするたびに消されて、もう誰も残ってねえ」
> サロ
「おかげで僕に仕事が来た。むしろありがたいね」
> サイナス
「ちぇーっ。お前は、そればっかだな」
> サイナス
「結局うまくいったのかよ、あの死体?」
> サロ
「もちろんだ。まだ、多少の調整は必要だが──」
> サロ
「ギューの瞳に込められた膨大な力を注ぎ込んでも、びくともしない。たいした素材だったよ」
> サロ
「あれなら、メルディムの幹部にしても恥ずかしくないだろう」
> サイナス
「あの死体がねえ・・・」
> サロ
「死体死体うるさいやつだな。ちゃんと『オルシァ』という名前がある」
> サイナス
「へえへえ。分かったよ」
> サイナス
「で、それで仕事は終わりなんだろ? お前ともお別れだな」
> サロ
「別れるのに、わざわざ待ち合わせしてどうする?」
> サイナス
「おお・・・、まだなんかあったか?」
> サロ
「女神の元へ連れていく・・・それが仕事の報酬だよ」
> サイナス
「お前がぁ? 女神を連れ戻しに行くのか──」
> サイナス
「恩賞目当てにしても、意外・・・だな」
> サロ
「連れ戻すだとか・・・本気で言っているのか。メルディムのくせに」
> サイナス
「なんだよっ。どいつもこいつも、それで旅立ってるじゃねえかよ」
> サロ
「・・・まあいい。さすがにこの炎天下で、その手の話を始めるつもりはない」
> サロ
「僕が女神の所に行くのは、ちょっとした探し物のためだ」
> サロ
「女神なら、ひょっとしたら持っているかもしれないんでね・・・」
> サロ
「──いいか? お前の役目は僕を連れて行くことだぞ」
> サロ
「僕が連れて行くんじゃないからな?」
> サイナス
「そういうことかよ。まあ、まかせとけって」
> サイナス
「・・・で、なんだ。とりあえず、どうするつもりだ?」
> サロ
「・・・・・・・まあ。とりあえずは、だな──」
> サロ
「シーレンで、旅支度を整えて・・・・・」
> サロ
「それから、少し話し合おうじゃないか──」
#U
(死者の町、カラドル──)
> サロ
「・・・ところでオーデン、ベトルドを見なかったか?」
> オーデン
「いや、こないだ隊商が食料を運んで来たんですがね──」
> オーデン
「そこにいた若い娘の後を追って、どっか行っちまったんですよ」
> オーデン
「『おお、エミリア。エミリア!』とか言って。娘の名前はティマだってのにねえ・・・」
> サロ
「しまった、悪い病気が出たな・・・」
> サイナス
「誰だよ、そのベトルドってのは?」
> サロ
「なんだ? お前みたいな戦いに明け暮れてる奴が、ベトルドの名前を知らないのか?」
> サイナス
「待てよ! フォルディア大公の、あのベトルド卿のことか?」
> サイナス
「だったら、知ってるに決まってんだろ。砂漠の民相手のいくさ話なんて、聞き飽きたくらいだぜ」
> サイナス
「フォルディア武会にも自ら出場して、連戦連勝だったってな──」
> サイナス
「でもよ、もう死んだだろ?」
> サロ
「いや、まだだ。長くはないがね・・・。不治の病ってやつさ」
> サイナス
「それでここに? いくらなんでも、こんな所に大公を捨てるかぁ?」
> サロ
「いろいろ疎まれていたというぞ。領地を留守にしがちだったため、孤立してもいたと・・・」
> サロ
「それで、病気に加えて奇行も出始めた所で、死んだということにして放り出されたらしい」
> サイナス
「信じられねえな。でも、本当にベトルド卿なら、手合わせしてみたかったぜ」
> サイナス
「まだまだ体は動くんだろ?」
> サロ
「さあ・・・? ただ、コキュ族の里を通るのに使えると思っただけだからな」
> サイナス
「コキュ族? あの鳥の出来損ないみたいなやつらか・・・」
> サロ
「そうだ。トロヤを越えて行くなら、いずれはコキュ族の里に差し掛かる。ちょっと厄介なやつらだぞ──」
> サロ
「その点ベトルドなら、度重なる戦いを経て、すっかりコキュ族に心服されているらしいからな」
> サイナス
「でも、消えちまったんだよなあ。
 エミリア・・・か」
> サイナス
「死んだ奥さんが、そんな名前じゃなかったか?」
> サロ
「む・・・、知らん」
> サロ
「だとしたら、ひどい錯乱ぶりだな。死んだ奥方が、そんなに若いわけないだろう」
> サイナス
「一番若かったころを思い出してるんじゃねえのか・・・?」
> サロ
「ふん・・・。ずうずうしいやつだ・・・」
#V
(シーレンオアシス──)
> ニカ
「あー、見れば見るほど砂漠だ」
> ハッシュ
「・・・ぼやくな。演習でも来ただろ」
> ニカ
「でもよ、オレらだけで、先発部隊の様子を見て来いだなんてなあ──」
> ニカ
「よっぽど腕を買われてるのか、ていよく飛ばされたのか・・・」
> ハッシュ
「どっちだと思うんだ?」
> ニカ
「飛ばしだろ。やっぱ、冒険者を通したのはマズかったな。でなきゃ、何か他の──」
> ハッシュ
「まあ、落ち着け。砂漠を隅々まで見て回れるとでも、思ったらどうだ?」
> ニカ
「無事に帰って来れる保証があるならな・・・」
> ニカ
「──それにしても遅いな。隊長とダナンは、なに手間取ってるんだ?」
> ハッシュ
「・・・揉めてる。トロヤ=ミル回りで行くか、ノランビーク回りで行くか、でな」
> ハッシュ
「トロヤ=ミル回りの方が人里が多くて、食料なんかの補給は容易なんだが──」
> ハッシュ
「砂漠の民は、騎士への反感が根強いからな・・・」
> ニカ
「へん。全部が全部ってわけじゃないだろ?いちいち気にすることないぜ」
> ハッシュ
「ダナンのやつと同意見だな」
> ニカ
「ん? ダナンがわざわざ、もめ事が起きそうな方から行きたがってるのか?」
> ニカ
「どうなってるんだ、いったい・・・」
> ハッシュ
「そらお前。酒とか、女とかだろ」
> ニカ
「ああ、なるほど! もしノランビーク方面から行くとなれば──」
> ハッシュ
「両方、当分おあずけ。いい薬だ」
> ニカ
「時間の問題だろうな。そんな理由で、隊長が意志を変えるわけねえし・・・」
> ハッシュ
「・・・だろうな」
> ニカ
「うーん・・・。でも、何だな・・・・・」
> ハッシュ
「どうした?」
> ニカ
「・・・いやいやいや。やっぱ、マズイって!」
> ニカ
「そんな状況に置かれたら、ダナンのやつ見境なくすぜ!」
> ハッシュ
「なくした所で、ないものはないからな」
> ニカ
「隊長だ! 隊長が危ない」
> ハッシュ
「バカ言え。いくらダナンがとち狂ったところで、あのお堅い隊長をどう出来るってんだ?」
> ニカ
「いいや! いくら隊長だって、もの凄い執念で四六時中口説かれたら、そのうち正気をなくすかもしれないだろ?」
> ハッシュ
「・・・それでも、ないだろうな」
> ニカ
「なんなら、鎧一式賭けたっていいぜ」
> ハッシュ
「いいだろう。乗った」
#W
#X
#Y
#Z
(シーレンの祠地下──)
> サロ
「なんだ? ・・・ギューの瞳が輝いている」
> サイナス
「おい! ビカッと来て、ドカーンといくんじゃねえだろうな?」
> サロ
「魔導を何だと思ってるんだ・・・?」
> サロ
「多分、この場の力と、何か反応してるんだろう」
> サロ
「ん? 見ろ。光が、像を結ぶぞ──」
> サイナス
「・・・誰だよ、こいつら?」
> ??
「──女神よ。約束を果たしに参りましたぞ」
> 女神ギュー
「約束・・・。杖を作ると言っていましたね」
> ??
「はい。人が望み得る、ありったけの力を込めたつもりです」
> 女神ギュー
「それで、私を・・・?」
> ??
「そこまで達していますかどうか。そこで、ひとつお願いが・・・」
> 女神ギュー
「分かっています。どこからでもどうぞ──」
> サイナス
「・・・すげえなあ。芝居する魔法か、なあ?」
> サロ
「ええい、引っ張るな! こういう、微妙なバランスで成立した魔導は──」
> サロ
「ああ! 見ろ、消えてしまったじゃないか!」
> サロ
「くそっ。今のはおそらく、ギューの瞳に映った光景が再現されていたんだ」
> サイナス
「悪かったよ。でも、あんなおっさん、別にいいだろ?」
> サロ
「これは元々、ポロネウスの杖の先端に取り付けられていた物だぞ?」
> サロ
「会話からして、あれはたぶん本人だろう・・・」
> サイナス
「何か寝覚めが悪いな・・・。まあ、貸してみろって」
> サイナス
「振ったり叩いたりすりゃあ、また出てくるんじゃねえか?」
> サロ
「よせ! ぶつけて壊すのがオチだ」
> サイナス
「そんなヘマは・・・、お、おお?・・・おい、見ろよ、おい!」
> サロ
「む・・・! 場面が飛んでるようだが・・・?」
> サロ
「もういい。分かったから、とりあえず動くな!」
> 女神ギュー
「──流石ですね・・・・・ポロネウス」
> ポロネウス
「貴方様も。まだまだ・・・本来の力を発揮しては・・・・・、りますまい」
> 女神ギュー
「今・・・・・は、こんなものです」
> サロ
「どうも、聞き取りにくいな・・・?」
> ポロネウス
「はは・・・。それにしても、それだけ・・・、力・・・・・ありながら──」
> ポロネウス
「まだ・・・、早すぎ・・・のでは──?」
> 女神ギュー
「早い方が・・・・・でしょう・・・」
> ポロネウス
「件の・・・『怪物』・・・・・すかな?」
> 女神ギュー
「いいえ。・・・『大・・・いなる・・・者』・・・、が──」
> ポロネウス
「では、・・・さか! ・・・私には、とても・・・、決められ──」
> サロ
「・・・乱れ過ぎだ。何とかしろ」
> サイナス
「無茶言うなよ。もひとつ叩きゃいいのか?」
> サイナス
「また飛んでも知らねえぞ・・・」
> ポロネウス
「──では。心無き者がみだりに訪れぬよう、この地は閉ざしておきましょう」
> ポロネウス
「女神の安息のために・・・」
> 女神ギュー
「・・・それならば私は、出来る限り待ちましょう。時が至るまでは──」
> サイナス
「・・・直ったな。けど、終わったな」
> サロ
「また飛んだか・・・。肝心な部分が分からんな」
> サロ
「古のポロネウスは、魔導の限りを尽くした、強力な杖を作り上げて、女神の元へ赴いたという──」
> サロ
「・・・女神以外に、杖の力に相応しい相手はいなかったからな」
> サロ
「だがなぜか、杖の力をろくに試しもしないまま、引き返して来たらしい」
> サイナス
「『大いなる者』、とか何とかな・・・?」
> サロ
「ふん。女神と対比するほどの『大いなる者』なんて、いるもんか」
> サロ
「少なくとも・・・残っちゃいないね」
> サイナス
「その、女神が言ってなかったか?」
> サロ
「あれだけ言葉が飛んでると、怪しいもんだ」
> サロ
「・・・まあ、そうだな。何ならもういっぺん、こいつを叩いてみるか?」
#[
(シーレンの祠地下──)
> サイナス
「なんだ? 祠の地下にいたはずなのに、どうなってんだ?」
> サロ
「しまった! 冒険者達にやられたはずみで、頭の中の死人が──」
> サロ
「情景ごと、漏れた・・・」
> サイナス
「じゃあ、ここはまだ、地下なのか? ホントに館の前にいるみてえだな・・・」
> サロ
「この館か・・・。放置されていたのを、勝手に借りたんだったか」
> サイナス
「なんか、前にどっかで見た気がするんだよな」
> サロ
「割とパルモアに近い位置にあったからな。目にしたことがあるのかもしれん」
> サロ
「この頃はたしか、擬似ラウム(魂)作りに熱中していたな・・・」
> サイナス
「魂か・・・。うまく行ったんだろ?」
> サロ
「一応な。それがどうかしたか?」
> サイナス
「館去るとき、その作ったモノはどうした?」
> サロ
「風に弱くて、外に持ち出せなかったんでね。置いてきたよ」
> サイナス
「ああー・・・、なんか、分かった気がするぜ」
> サロ
「僕にはさっぱり分からん」
> サイナス
「こっちの話だ。まあ、せっかくだから、館の中を──」
> サロ
「それはよせ」
> サイナス
「なんだよ。・・・おおー、明かりが点いたぜ」
> サロ
「ふん。あの夜か・・・」
> サイナス
「また何か、ろくでもない事したんだろ?」
> サロ
「まあな。ラウムを自在に操る研究の一環で、ラウムの出し入れを試みた」
> サイナス
「ラウムラウムって、しつこいな、お前も」
> サロ
「ラウムは魔導の力と深い関わりがあると言われているんだ」
> サロ
「だが、はっきりとは分かっていない。研究しない手はないね」
> サイナス
「長いことやってんだから、そのぐらい分かんだろ?」
> サロ
「難航しているよ。昔は、ラウム自体が力の発生源だと考えられていたんだが・・・。違うようだ」
> サロ
「この世界には、火、水、地、風どれにも属さない、『第5の力』が存在していて──」
> サロ
「それを操作するのに、ラウムが役立っているらしい」
> サイナス
「だったら、それでいいじゃねえかよ。何で、そんなにこだわるかねえ?」
> サロ
「何でと言われてもな。お前だって、殴ってりゃ幸せなんだろう? そんなものだ」
> サイナス
「オレの場合はよぉ、昔っから体がデカかったし──」
> サイナス
「ケンカで相手が死んじまって、パルモアの寺院に放り込まれたからな。まあ、こうもなるってもんだ」
> サロ
「待てよ。お前、8歳から寺院に居たって言ってなかったか?」
> サイナス
「おう。ちょうど、そのぐらいからだ」
> サロ
「8歳児が人を殴り殺したのか?」
> サイナス
「殺すつもりなんてなかったぜ。アニキも強かったしな」
> サロ
「しかも、兄弟ゲンカか? 冗談みたいな人生だな・・・」
> サイナス
「ほっとけよ。分からないのは、お前の方だ」
> サロ
「僕には、確たる理由なんてないんだがね・・・」
> サロ
「──まあ、家にはやたら本があったな。親父が本狂いだったんだ」
> サロ
「そのせいか、暮らし向きは良くなかったな。ケラシュで書記をやってたぐらいだから、それなりに収入はあったはずなんだが」
> サロ
「やることもないんで、親父の目を盗んで本を読んだよ。魔導に関する物が、一番面白かった」
> サロ
「だがね・・・どうも、肝心な部分が書かれていない気がしたんだ」
> サイナス
「まあ・・・そんなもんだろ」
> サロ
「その後、個人的に文献を調べるようになっても、やっぱりそう思った」
> サロ
「どうやら、足りないのはラウムに関する部分らしい──」
> サロ
「だったら、それを探して生きればいい。・・・・・魔導師になったよ」
> サイナス
「単純な奴だな」
> サロ
「余計なお世話だ」
> サロ
「この館での実験だって、うまく行けば大いに研究が前進するはずだったんだ」
> サイナス
「・・・まあ、無事だったんだからいいじゃねえか」
> サロ
「別に、自分で試したわけじゃないからな」
> サロ
「意気揚々と台に横たわったものの、よく考えたら、自分のラウムを抜いたら、戻す人間がいなくなってしまうことに気付いた」
> サイナス
「そりゃ、そうだ」
> サロ
「そこでだ。ちょうど館に、妹が泊まりに来ていたことを思い出したんだ」
> サイナス
「おいおい・・・」
> サロ
「なに、簡単な話だよ。魔導の力でラウムを取り出す。魔導の力でラウムを戻す」
> サロ
「だが、妹は目を覚まさない──」
> サイナス
「ひでえヤロウだ」
> サロ
「ふん。いずれラウムの仕組みを解き明かしたら、そのついでに呼び戻してやるさ」
> サイナス
「魂は、ぐるぐる巡り回ってるって聞いたけどな・・・」
> サロ
「その時すでに、妹のラウムが誰かの体に入っていたら──」
> サロ
「そいつの体から、引きずり出せばいいだけの話だよ」
#\
(滝の神殿地下──)
> リョカ
「ど、どうだい? 何か分かった?」
> ファテット
「そうね・・・。この壁に、いろいろとあるけど」
> リョカ
「読むのなら、任せてよ! エーと──」
> リョカ
『墜ちゆくは女神 地の根の渇き しずくは天に 黒きは海に』
> リョカ
『遠きヘイダロアの地に 目覚めたまう 竜が啼くころ──』
> リョカ
「これは・・・、何だろ? 参考になりそう?」
> ファテット
「それは、ただの予言や警句の類ね・・・」
> ファテット
「トラフィンでは、門柱にそういうのを記すのが流行ってたみたい」
> リョカ
「ア、ああ。それはトラフィンに限った事じゃないね」
> リョカ
「ン・・・、門? ここって、単なる通路の途中だよね?」
> ファテット
「・・・リョカ。あなたの貼り付いている所に、下の階への、隠された道があるのかも」
> リョカ
「ソ、そうか! ・・・でも、ここが開けば、腕の仕掛けが取れるのかな?」
> ファテット
「さあ・・・。でも、いつまでも出入口に物が引っかかっていたら、邪魔でしょう?」
> リョカ
「不便だろうね・・・。ウン、やってみようか。
 どうすればいい?」
> ファテット
「・・・この絵が見える? トラフィンで重要なのは、絵の方だから」
> リョカ
「ウーン、相変わらず、ただの人間に見えるけど・・・」
> ファテット
「これはゾーハル。片腕が翼でしょう?」
> リョカ
「そうか・・・。せめて、レギノの火を掲げていてくれれば、分かるんだけど」
> ファテット
「それが、なくしてしまっているみたい・・・」
> ファテット
「あなたを捕まえている、メルメトファハスを倒す物と言えば、何?」
> リョカ
「・・・・・まさしく、レギノの火、だよ!」
> ファテット
「そうね。・・・こっちの方で、女神が子供達の一人に、何かを命じているのが見える?」
> リョカ
「ソノ、顔のない黒い女が女神? だったら、そうとも見えるかな・・・」
> リョカ
「命令を受けてるのは誰だい? 見守るのが仕事の、シェバってことはないよね」
> リョカ
「ヤッパリこの状況にふさわしく、死神フリマスあたりかな・・・?」
> ファテット
「旅立っているのは、ターラーンみたいね・・・」
> リョカ
「ターラーンと言えば、放浪、探索・・・。神々の逸話に、こんな場面はないし──」
> リョカ
「つまり、レギノの火に相当する物を、探し出せってことなのかな?」
> ファテット
「・・・たぶん」
> リョカ
「と、言っても、いったい何を?」
> ファテット
「さあ・・・。火を暗示するものとか、ゾーハルに関わりのありそうなものとか、あるいは鍵そのものとか・・・」
> リョカ
「そんなんじゃ、とても探せっこないよ!」
> ファテット
「・・・それを守っている、守護者を探して倒せばいいのよ」
> リョカ
「エ、なんで?」
> ファテット
「ターラーンの絵ね・・・。ほら、毛皮をすっぽり被って、斧を携えて──」
> リョカ
「ウーン。どうも、戦いに備えてるみたいだけど?」
> リョカ
「・・・アア、なるほど! 戦闘が起きることを、ほのめかしてるのかい?」
> ファテット
「そう・・・・・ね」
> リョカ
「一番ありそうなのは、ゴーレムの類かな・・・?」
> ファテット
「ええ。もっともらしく、燃えたりとか、輝いたりとか・・・」
> リョカ
「戦闘か・・・、どうなんだろ。勝てそうかな?」
> ファテット
「厳しいかも・・・。まがりなりにも、レギノの火を模していたら、特に」
> リョカ
「・・・アレは、あらゆるモノに命を吹き込み、あらゆるモノを焼き尽くす炎だから、つまりは──」
> リョカ
「ヘタすれば、一撃の下の死──の恐れアリ、か!」
#]
(滝の神殿地下──)
> リョカ
「フウ、やっと自由になれなったよ」
> ファテット
「そうね。それじゃ、先に進みましょ・・・」
> リョカ
「アー、そのことなんだけどね。実は、妹サンに会ったよ」
> ファテット
「・・・・・そう。で、どうだった?」
> リョカ
「腕をもがれそうになったよ」
> ファテット
「険悪ね・・・」
> リョカ
「でも、コツは掴んだ気がする。ウマくやっていけるんじゃないかな」
> ファテット
「そう・・・。だったら、もう引き返す?」
> リョカ
「そうだね・・・」
> ファテット
「あの子にも、帰るってひとこと言っておかないと・・・」
> リョカ
「ソレなら大丈夫。一部始終を書いた、手紙を渡しておいたよ」
> ファテット
「・・・手紙? いつ書いたの」
> リョカ
「モチロン、腕を掴まれてる間にさ」
> ファテット
「あの体勢で・・・。ちょっとした、才能ね・・・」
> ファテット
「・・・それで、手紙を見て、何て言ってた?」
> リョカ
「何も言わずにコレを読んでくれ、って言って渡して来ちゃったからね。わかんないなあ」
> ファテット
「そう。でも、それなら──」
> ファテット
「・・・・・帰りましょ?」
> リョカ
「ウン、ただね・・・」
> ファテット
「どうかしたの・・・?」
> リョカ
「冒険者のみなさんには、世話になったからね。出来ればお礼をしたいなあ、って」
> リョカ
「コノ階を通り抜けるのに、ボクらは役に立てるんじゃないかな?」
> ファテット
「そうね・・・。いいかも」
> リョカ
「ヨシ、そうと決まれば! ・・・とりあえず、火、水、地、風、の4つの部屋があるよね」
> ファテット
「ある順番で巡って、守護者達に力を示せばいいみたいだけど・・・」
> リョカ
「問題は、その順番・・・だよね」
> ファテット
「・・・・・壁の絵で、見る限りは──」
> ファテット
「神々の逸話に、登場した順番みたいね・・・」
> リョカ
「と、言うことは、まずは『火の間』かな?」
> ファテット
「全部の部屋を回らなくてはならないのなら、その前に、“風” ね・・・」
> ファテット
「ゾーハルが、風の精霊ファルーガと競争して・・・知恵を使って先回りして、勝利する──」
> リョカ
「それでファルーガから、翼を一組譲り受けたんだっけ。ナルホド、こっちが先か」
> リョカ
「──と、いうわけでね。まずは、『風の間』だってさ! 守護者の方は・・・」
> ファテット
「がんばってね・・・・・」
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