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#]]T
(メレディス、騎士本隊近く──)
> サロ 「誰かと思えば、やはりいたか。あれは厄介だぞ」
> サイナス 「どいつのこと言ってんだ?」
> サロ 「副団長のセシルだよ」
> サイナス 「セシルなんて奴、いたっけか?」
> サロ 「騎士団の名物男を知らんのか? ほら、あいつだ」
> サイナス 「あーん? ありゃ、ブルキンじゃねえか」
> サロ 「いかにも奴は、セシル=ブルキン」
> サイナス 「おいおい、よく見ろよ! あれがセシルって顔か?」
> サイナス 「どう見たってブルキンだろ、ブルキン!」
> サロ 「む・・・。じゃあ、ブルキンで構わん。何とかなりそうか?」
> サイナス 「そうだな。いきなり懐に飛び込んじまえば、何とかなるんじゃねえか?」
> サイナス 「初めにしくじるとキツいな。特に馬付きだとな」
> サロ 「そんなに変わるものか?」
> サイナス 「奴の馬はきたねえんだよ。変な鞍を乗せると、空中を駆け回りやがる」
> サロ 「いにしえの騎士の、飛空騎馬か。失われた技のはずだが・・・」
> サロ 「案外、使いこなす奴はいるもんだな」
> サイナス 「何だよ、案外って?」
> サロ 「こっちの話さ。じゃあ、初めの一手さえうまくやれば、何とかなるんだな?」
> サイナス 「いや、腕が利けばの話だぜ」
> サロ 「どういうことだ?」
> サイナス 「前に冒険者の奴らとやって以来、どうも調子悪くってよ」
> サイナス 「そのうち治るかと思ったら、いつの間にか感覚がなくなっちまった」
> サロ 「大雑把な奴だ・・・。今までほっといたのか」
> サイナス 「こんな砂漠でどうしろってんだ?」
> サイナス 「それより、こういう時こそ魔法で何とかなんねえのか?」
> サロ 「僕は、癒したり治したりとかは、ちょっとな・・・」
> サイナス 「いかにもそんな感じだな」
> サロ 「まあ、やるだけやってみるか。確か、癒しの呪文は──そら!」
> サイナス 「う・ぎゃああああああ!」
> サロ 「・・・やはりダメだな。癒すはずが、どうしても逆に作用してしまう」
> サイナス 「分かってんなら、やんなよ。バカヤロ・・・」
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#]]U
(メレディス、聖樹近く──)
> サイナス 「こんな抜け道があるなら、最初から使えよな」
> サロ 「さっきまではここらにも騎士がいたんだがな。この程度の揺れで、浮き足立っているのか?」
> サイナス 「おかげで冒険者の奴らより先に着いたぜ。良かったじゃねえか」
> サロ 「まだ結界が残っているんだがね」
> サイナス 「おお。そういや結局、杖見付かんなかったよな。どうすんだ?」
> サロ 「自力で解除するしかないだろう。ポロネウスと勝負、というわけだ」
> サイナス 「面倒なもん作ってくれたもんだぜ。絶対、嫌がらせだよな」
> サロ 「元々は、力無き者を寄せ付けない結界を作るつもりだったらしいぞ」
> サロ 「どういうわけだか、出来上がったのは杖を持たない人間を通さない結界だがね」
> サイナス 「失敗したのか?」
> サロ 「勢いに任せて作ったら、こうなったんだろう」
> サロ 「ゾーハルの徒を自称していただけあって、やることが何しろ大雑把だ」
> サイナス 「そんないい加減なモノなら、案外簡単に解除できるかもな?」
> サロ 「ところがね・・・。さっぱりわけが分からんよ。杖を持っていれば通れるなんて、信じられないぐらいだ」
> サロ 「魔導がぐちゃぐちゃに絡み合っていて、見ているだけでめまいがする」
> サイナス 「そんなにすげえのか・・・」
> サロ 「もう少し何とかなると思ったが、とても手に負えそうもない」
> サイナス 「せっかく冒険者の奴らの鼻を明かせると思ったのによ」
> サロ 「せめて、もう少し、結界の作りが分かる程度に魔導を解きほぐせれば──」
> サロ 「・・・うむ、そうだな。ちょうどこんな感じに・・・・・」
> サロ 「うん?」
> サイナス 「どうしたんだよ?」
> サロ 「結界が、どんどん薄まって行くぞ・・・」
> サイナス 「いつの間にか、解除成功か?」
> サロ 「違う。結界が反応している。近くに杖があるんだ」
> サロ 「ボンクラ騎士どもが、そんな気の利いた物を持っているとは思えん──」
> サロ 「となると・・・、くそっ! やっぱり冒険者の奴らか!」
> サイナス 「冒険者の奴らねえ。そりゃ、近くと言えば近くだけどよ。こんなんじゃ、この街にいる奴全員、結界の中に入れちまうぞ」
> サロ 「適当なところはとことん適当だからな」
> サイナス 「ま、消えたんなら何でもいいけどよ。行こうぜ?」
> サイナス 「うわ、いてっ! おい。やっぱり通れねえぞ!」
> サロ 「・・・あと一歩というところで、止まってしまった」
> サイナス 「やっぱり離れすぎてんじゃねえのか?」
> サロ 「そういう感じじゃないな。多分これだ」
> サイナス 「それは、確か・・・」
> サロ 「『ギューの瞳』だ。元々、ポロネウスの杖の先端に取り付けられていた」
> サイナス 「それを元に戻せばいいのか?」
> サロ 「そうじゃない。オルシァを作るとき、これに込められていた力を、残らず使い果たしてしまったからな」
> サロ 「その分が足りないんだろう」
> サイナス 「変なとこだけきっちりしてやがる。結局立ち往生かよ」
> サロ 「ここまで解きほぐれているんだ。後はもう、何とか・・・するしかない」
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#]]V
(メレディス、聖樹近く──)
> サロ 「うーむ、むむむ・・・」
> サイナス 「あー、もう!」
> サイナス 「変な声出してうなるな! 気味の悪い、くねくねした動きもやめろ!」
> サロ 「解除に必要なんだ。うるさいぞ」
> サイナス 「まだ終わんねえのかよ? 冒険者の奴らが来ちまうぞ」
> サロ 「心配しなくても、これで終わりだ」
> サロ 「・・・うん? こいつは──」
> サイナス 「今度は何だよ?」
> サロ 「やられた! 罠だ。最後の最後まで、御丁寧なことだ」
> サロ 「結界が消えると同時に来るぞ。魔導の力の奔流だ」
> サロ 「とても間に合わん! 体ごと持って行かれる」
> サイナス 「そうか! よし、まかせろ!」
> サロ 「体を押さえて何になる! 離せ、お前と一緒なんてゴメンだ!」
> サロ 「う、うわあああああ──!」
> サイナス 「・・・うへ、くらくらしやがる」
> サイナス 「とりあえず、何とかなったみたいだな?」
> サロ 「は、はは・・・」
> サロ 「何なんだ、バカバカしい。なぜ何とかなる?」
> サロ 「今度からこの手の結界は、お前がやれ。殴って壊せ」
> サイナス 「おい、お前! 目が・・・」
> サロ 「ふん。この程度で済めば、安いものさ。どうせ大して見えなかったんだ」
> サロ 「さあ、行くぞ」
> サイナス 「あーん? そっちは・・・、帰るのか?」
> サロ 「む? ・・・いくら何でも、そんなわけないだろう?」
> サロ 「見えないんだ。どっちがどっちかなんて、分かるか!」
> サイナス 「だったら前を歩くなよ。相変わらず、わけのわかんねえヤロウだ」
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#]]W
(メレディス、聖樹根元近く──)
> 女神ギュー 「・・・やっぱり死ねない」
> ラダロ 「女神様。そんな所から縄でぶら下がるのはおやめください。万一ということがあります」
> 女神ギュー 「それを期待してるんだけど」
> ラダロ 「お降りください」
> 女神ギュー 「ほっといてよ。せめて、何かいい考えでも浮かばないかしらね?」
> ラダロ 「下から覗かれても良いのですか?」
> 女神ギュー 「・・・分かったわよ。降りればいいんでしょ」
> 女神ギュー 「聖樹の化身って、どうしてこうも下品なのかしら?」
> ラダロ 「その喋り方も何とかならないのですか?威厳の欠片もありません」
> 女神ギュー 「これが地だもの。ゾーハルの相方が、そんな御立派なわけないでしょ!」
> ラダロ 「──おや、早かったですな。冒険者達が、いつの間にやら」
> 女神ギュー 「ラダロ、冗談は程々になさい。冒険者の方々が、本気にするではありませんか──」
> 女神ギュー 「・・・何よ、誰も来てないじゃない」
> ラダロ 「相変わらず、見事な変わり身の早さです」
> 女神ギュー 「余計なお世話よ。はあ、早く来ないかしらね」
> ラダロ 「御心配なく。女神様には、指一本触れさせませんから」
> 女神ギュー 「あのね! 早く死なないと、復活出来なくなって、本当に死んじゃうの」
> 女神ギュー 「なんで分からないの? 何度もやってる事でしょ」
> ラダロ 「話は分かります。眠りに就くなら、ゾーハル様にお頼みください」
> 女神ギュー 「あの人は死んじゃったって言ってるでしょ!」
> ラダロ 「まさか、そんな馬鹿な。確かに存在を感じますとも」
> 女神ギュー 「勘違い。絶対気のせい。大間違い」
> ラダロ 「ともかく、女神様をお守りするのが我が使命。人間風情を通すいわれはありませんな」
> 女神ギュー 「何で? どうして、どうしてこうなの?」
> 女神ギュー 「ああ分からない分からない」
> ラダロ 「2回ずつ言っても、駄目なものは駄目です」
> 女神ギュー 「はあ・・・。いいわよ。石板に字でも彫ってるから」
> ラダロ 「役に立つ機会があるとは思えませんな」
> 女神ギュー 「黙ってなさい。気を散らすと、大事なことを書き忘れるでしょ」
> 女神ギュー 「最近どうも、頭がはっきりしないというか。限界ね、眠るの引き延ばしすぎたわ」
> ラダロ 「見た目の維持に力を使い過ぎなのでは?」
> 女神ギュー 「なんか言った?」
> ラダロ 「いえ、別に何も・・・」
> 女神ギュー 「まったく。樹らしく少しはおとなしくしてなさいよ」
> ?? 「──あー、女神様! やっぱりこちらにいらしたんですね!」
> 女神ギュー 「つまり、ラダロ。沈黙はしばしば雄弁に勝るということを、ですね──」
> チャム 「どうかしたんですか、女神様?」
> 女神ギュー 「・・・あれ、チャムちゃん。久しぶり」
> チャム 「はい! ところで見ましたか? ひどいんですよ」
> チャム 「シーレンもメレディスも、どこもかしこも砂漠ばっかりなんです!」
> 女神ギュー 「そう言えばチャムちゃん、精霊と人間の戦いに嫌気が差して、さっさと眠っちゃったんだっけ?」
> チャム 「そうですそうです!」
> 女神ギュー 「あれからずっと眠ってたの?」
> チャム 「はい、ちょっと眠り過ぎました! いったい何があったんですか?」
> 女神ギュー 「そうね、かいつまんで話すと──」
> チャム 「──ううう、そんなことが・・・。ゾーハルさまぁ!」
> 女神ギュー 「ほらほら、泣かないで。昔の話よ」
> チャム 「・・・ひっく。それで女神様は、これから復活のための眠りに就くんですよね?」
> 女神ギュー 「そうそう。良かった、ようやく話の分かる相手が見付かったわ」
> チャム 「でも、ラダロさんの言うこと、分かります! 女神様に人間の手を触れさせるなんて、わたしイヤです!」
> 女神ギュー 「え・・・、えええっ?」
> 女神ギュー 「嫌とか、そういう問題じゃないんだけど・・・」
> ラダロ 「さすが、チャム殿は分かっておられる」
> チャム 「一緒にがんばりましょ、ラダロさん!」
> ラダロ 「もちろん!」
> 女神ギュー 「なんで? どうして? ああ、分からない分からない・・・」
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